研究内容

sea surface radar

マイクロ波リモートセンシングによる海面観測システム

変動する海面を観測する技術は、海洋の利用に欠かせない重要な技術です。マイクロ波レーダを用いてリモートセンシングにより計測した、海面から後方散乱するマイクロ波の散乱強度及びドップラー速度の変動を解析することで、海洋波浪の波高・波周期・波向、海表面流れの流速・流向、海上風の風速・風向、海面の高さの変動(潮位と津波)、海氷の分布・接近速度に関する情報を得ることができます。陸・海・空・宇宙からの海面を観測するシステム構築を目指しています。more

wave radar

固定アンテナ式パルスドップラーレーダによる海洋波浪観測

沿岸及び海洋構造物など固定されたプラットフォームに設置して、波浪を観測する固定アンテナ式マイクロ波パルスドップラーレーダを開発しています。レーダ照射方向の複数観測点の水面変位の時間変動を計測し、波浪成分ごとの観測点間の位相差の関係を用いて波向を求めます。2方向以上の同時波浪観測を行うことで、海域に存在する主な波浪成分の波向、波周期、波高、位相の情報を得ることが可能です。平塚沖総合実験タワーにてプロトタイプによる実海域実験を行っています。more

tsunami radar

アンテナパターンを利用した水位変動の観測

照射方向を固定したパルスレーダが計測する水面からの後方散乱強度は、レーダのアンテナパターン及びレーダと水面との間の距離の影響を受けて、時間(空間)とともに変化します。 レーダが計測する後方散乱強度は、アンテナの中心部で強く、中心から離れるにつれて弱くなります。尚、水位が下がるとレーダからアンテナの中心部が照射される水面までの距離が遠くなり、レーダから送信されたパルス波が水面から後方散乱してレーダに戻って来るまでの時間が長くなります。このような後方散乱強度の変動と水位変化との関係を用いて、レーダリモートセンシングにより、水位変化を観測することができます。この研究は、潮位変動、津波、集中豪雨等による河川の増水の計測に応用され、水災害における対策作成などに貢献します。more

seacice radar

ドップラーレーダによる流氷観測

海面から後方散乱するマイクロ波には、波浪に起因する海面付近水粒子の軌道流速により広範囲の周波数変調が発生します。しかし、海氷のような運動速度が均一な物質から後方散乱するマイクロ波の周波数変調幅は狭い。海面を構成する物質(海水または海氷)の後方散乱特性から、海氷の分布及び接近速度を観測することができます。more

ocean renewable energy

海洋再生可能エネルギー開発

再生可能エネルギーは、温室効果ガスを排出しない持続可能なエネルギー源として期待が高く、世界各国において開発・利用が進められています。海洋再生可能エネルギーの利用拡大において、最も重要なのは開発コストであり、それを左右するのがシステムの効率であります。波力や潮流など海洋再生可能エネルギーを動力源とする発電システムでは、自然エネルギーの機械エネルギーへの変換と機械エネルギーの電気エネルギーへの変換を合わせた総合変換効率を高める必要があります。油圧システムを利用した、比較的エネルギー密度の低い海洋再生可能エネルギーに適した高効率な発電システムに関する研究開発を行っています。宮城県塩竈市浦戸地区寒風沢水道での垂直軸ロータを用いた最大出力5kWの潮流発電装置の実海域実験(2014年11月−2019年6月)、神奈川県平塚市ひらつかタマ三郎漁港(新港)での振り子式波力発電装置の実海域実験(2020年2月−2022年2月)を実施し、岩手県久慈市の久慈港玉の脇地区の振り子式波力発電装置の実海域実験を行っています。また、福島県浪江町の請戸漁港に商業化を目指した波力発電所の建設に向けて研究開発を進めています。
海洋再生可能エネルギー実証実験サイト

riser

水中線状構造物の挙動に関する研究

海洋掘削用ドリルパイプは比較的単純な構造物であるにもかかわらず、作用する流体外力、構造自体の応答特性も一般に非線形であります。また、海流など流れを有する海域で作業するドリルパイプには、回転による振動に流れによる振動が加わり、より複雑な応答を示します。これらの問題は、対象となる水深が深くなりパイプが長大になるに従い、強度が相対的に低下したり、水深ごとの流れの流速が変化したりすると、強度設計、安全性確保の観点からより重要になります。more