第9回海中海底工学フォーラム・ZERO Hybrid


        
        日 時   2023年4月21日(金)13時00分〜17時00分
        場 所   東京大学生産技術研究所An棟2Fコンベンションホール「ハリコット」【ハイブリット方式】
              〒153-8505 目黒区駒場4-6-1  電話:03-5452-6487 地図参照
        参加費   無料
        主 催   海中海底工学フォーラム・ZERO 運営委員会
        支 援   東京大学生産技術研究所(生研研究集会)
        協 賛   日本船舶海洋工学会、海洋調査技術学会、海洋音響学会、(公社)土木学会、(公社)日本水産学会、IEEE/OES東京支部、MTS日本支部
              東京大学海洋アライアンス、東京大学生産技術研究所海中観測実装工学研究センター

        プログラム ForumZero09_Program.pdf


研究会:13:00-17:00

1)挨 拶  13時00分-13時05分
  東京大学大気海洋研究所 道田 豊

  
2)Pressure Drop航海記:日本人最深部潜航記録と超深海底研究の新展開  13時05分-13時35分
  名古屋大学 道林 克禎

[講演概要] 2022年8月5日から9月19日まで日本列島周辺の超深海海溝における地質と地形および生物観察を目的として,フルデプス有人潜水船リミッティングファクター号と投入型無人探査機ランダーによる海溝最深部調査が実施された。そして,8月13日に伊豆・小笠原海溝の最深部に潜航し,60年ぶりに日本人最深潜航記録を更新した。本講演では潜航に至った経緯を含めて当時の様子を紹介しながら超深海研究の新しい動きを紹介する。
プレスリリース / 関連資料
3)生命の起源 「海底熱水 液体/超臨界CO2仮説」  13時35分-14時10分
  海洋研究開発機構 渋谷 岳造

[講演概要] 原始地球において生命が海底熱水系で誕生したとする海底熱水説は、生命の起源に関する最も有力な仮説の一つであるものの、海底熱水系を満たす水が生命を形作る有機物の合成を妨げ、分解を促進してしまうという「ウォーター・パラドックス」とよばれる欠点があると指摘されてきた。本研究では、多くの有機物を溶かすが水とは混ざらない、という化学的特性を持つ液体/超臨界状態CO2を海底下に保持する海底熱水系が、現在の地球だけでなく原始地球にも存在していた可能性が高いことを示し、液体/超臨界CO2が前生物的化学進化を促進したとする「海底熱水 液体/超臨界CO2仮説」を提唱した。この新しい仮説は「ウォーター・パラドックス」を解決するだけでなく、海底熱水系が化学進化も効果的に促進する生命誕生の場であったとする新しい概念を提供するものである。
プレスリリース / 関連論文
4)新しい海面プラットフォーム:UAVの海底測地観測への応用  14時10分-14時35分
  東京大学生産技術研究所 横田 裕輔

[講演概要] GNSS-A海底地殻変動観測は、陸域地殻変動観測に比べて精度・頻度が劣っている。中でも、船舶を用いた観測の頻度は限界に達しており、海面プラットフォームが手法的なボトルネックとなっている。2010年代から多くの海洋計測に自航式ブイが検討されるようになり、手法の多様化が図られたが、ブイには強流域での海面位置保持能力に課題があり、観測能力に制限がある。我々は船舶、ブイに次ぐ、第3の海面プラットフォームとして、UAVによる海中・海底観測の可能性を研究している。SELABが新たに開発を進めている離着水能力を有する飛行艇型無人機HAMADORIのプロトタイプを用いて、海底音響通信を試行し、GNSS-A観測実験を行った。その結果を紹介するとともに今後の研究開発目標、応用の展望について紹介する。
プレスリリース / 関連論文
5)水上ドローンによるブルーカーボン量の計測  14時35分-14時55分
  (株)KDDI総合研究所 高橋 幹

[講演概要] ブルーカーボンは、海草や海藻など、海洋生物の作用で海中に取り込まれる炭素である。二酸化炭素の新たな吸収源として注目され、藻場を対象としたカーボン・オフセット制度が推進されている。ブルーカーボンの定量的な測定には、生態系の種類や分布面積の調査が必要であるが、空撮やダイバーによる従来の調査では、広域を正確に観測することが難しい。そこで、スマートフォン上で事前に作成した航路に従って自律航行し、搭載した水中カメラで藻場を撮影できる水上ドローンを活用、撮影映像の分析を通じて広範囲に及ぶ定量調査が可能なことを示した。本発表では、三重県鳥羽市の菅島と答志島沿岸にて実施した実証実験や現在の取り組みを紹介する。
プレスリリース1 / プレスリリース2

-休 憩-

6)光ファイバセンシング技術による新しい海底地震観測  15時20分-15時50分
  東京大学地震研究所 篠原 雅尚

[講演概要] 従来情報通信などに使用されている光ファイバ自体を、センサ群として振動を計測する光ファイバセンシング技術が、近年発展している。特に、長区間にわたって、短い観測点間隔で計測できる分散型音響センシング(DAS)技術は、地震観測に適しており、光海底ケーブルに適用することで、現状では少ない海底地震観測点を飛躍的に増やすことができる。東京大学が設置した三陸沖光海底ケーブル地震津波観測システムの予備ファイバにDAS計測を適用して、海底地震観測が実施されている。この観測と得られたデータの性質について、報告するとともに、常時微動や制御震源のDAS観測により、浅部構造を高分解能で求めた例を紹介する。
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7)浅海域で運用可能なMbps級高速水中音響通信技術 ~ROV無線化への挑戦~  15時50分-16時10分
  NTT未来ねっと研究所 藤野 洋輔

[講演概要] 近年、水深数十メートル程度の浅海域で運用可能なROVは安価に入手できるようになり、海中構造物の点検等、これまでダイバーが担っていた作業を代替する用途での活用が進みつつある。現在のROVは有線制御であるが、これが無線化されることでケーブルに起因する運用制約等から解放され、更なる活用が期待される。しかしながら、特に浅海域では、ROV無線化に必要な高速かつ安定した水中通信技術が確立されておらず、無線化は困難とされてきた。NTT研究所では、浅海域での高速かつ安定した音響通信を阻害する多重反射波や劣悪な雑音を制御する技術に取り組み、水深20~30mの浅海域において、水平距離300mで1Mbpsの伝送実験、ならびにROV無線遠隔制御の実証実験に成功した。本講演では、これらの取り組みと将来の展望について紹介する。
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8)AUVへのkW級ポジションフリー無線給電とWavelet-OFDMを用いた海中電波通信   16時10分-16時30分
  パナソニックインダストリー(株) 枷場 亮祐

[講演概要] 海には豊富なエネルギー・鉱物資源が存在している。海中内小型移動体として海中を自由に動くことのできる自律型無人潜水ロボット(Autonomous Underwater Vehicle:AUV)は、海洋資源の探査や海洋生物の調査、インフラ施設の監視などに利用されている。しかしながら、バッテリーの充電・交換,データの取り出しのため、海上に引き揚げる必要がある。AUVの効率的な探査のために、海中内で位置自由度が高いkW級無線電力伝送技術とWavelet OFDM (Orthogonal Frequency Division Multiplexing) 用いた電波通信について技術開発を行った。本フォーラムでは、海中内の無線電力伝送技術、電波通信技術について発表する。
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9)AUVがひとりでお使い:1000km、22日に渡る複数廃止石油サイトのマッピング調査   16時30分-16時50分
  東京大学生産技術研究所 ソーントン ブレア

[講演概要] 2022年9月、最先端のカメラシステムを搭載したロングレンジAUV ”BoatyMcBoatFace”が22日間19時間に渡り、1,013kmを走り、複数廃止石油サイトを含む3つのサイトの海底画像マッピングを実施しました。イギリスのシェットランド島の岸壁で、2人の作業員がAUVをクレーン車で海に下ろし、小さなボートで港の外までエスコートしてから、数週間後に同じ港で回収されるまで、一日一回の衛星通信以外、AUVは、一人ぼっちで寂しかっただろうと思うかもしれませんが、ロボットなのでそんなことはありません。大型船を使ったAUV運用で同じ調査内容をこなすには約50,000リットルのディーゼルが必要と推定されますが、本調査でAUVが使用した22kWhは、約2リットルのディーゼルに相当します。ここで用いた運用形態は、一般的な調査船を用いたAUV運用形態とは全く別物となります。AUVは一日一回、容量が非常に限られた衛星通信を通して、1,000km以上離れたオフィスにいるオペレータ等に、その日のパフォーマンスを簡潔に報告し、報告した内容を元に、オペレータ会議(毎日朝10時から1時間)で決められたその日の命令を受け、任務を続けます。AUVが働いている間、オペレータは、大学の講義を行う、論文・プロポーザルを書く、子供(人間)の送り迎えをするなどと働きます。本公演では、調査の運用方法、工夫や得られた海底マッピングデータについて解説します。
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10)次回案内および閉会の挨拶  16時50分-17時00分
  東京大学大気海洋研究所 道田 豊
  東京大学生産技術研究所 巻 俊宏

【開催履歴】

第8回海中海底工学フォーラム・ZERO Online 詳細

開催日:2022年10月14日(金)
主 催:海中海底工学フォーラム・ZERO 運営委員会
協 賛:東京大学生産技術研究所海中観測実装工学研究センター他

第7回海中海底工学フォーラム・ZERO Online 詳細

開催日:2022年4月22日(金)
主 催:海中海底工学フォーラム・ZERO 運営委員会
協 賛:東京大学生産技術研究所海中観測実装工学研究センター他

第6回海中海底工学フォーラム・ZERO Online 詳細

開催日:2021年10月8日(金)
主 催:海中海底工学フォーラム・ZERO 運営委員会
協 賛:東京大学生産技術研究所海中観測実装工学研究センター他

第5回海中海底工学フォーラム・ZERO Online 詳細

開催日:2021年4月23日
主 催:海中海底工学フォーラム・ZERO 運営委員会
協 賛:東京大学生産技術研究所海中観測実装工学研究センター他

第4回海中海底工学フォーラム・ZERO Online 詳細

開催日:2020年10月16日
主 催:海中海底工学フォーラム・ZERO 運営委員会
協 賛:東京大学生産技術研究所 海中観測実装工学研究センター他

第3回海中海底工学フォーラム・ZERO [WEB会議] 詳細

開催日:2020年4月24日
主 催:海中海底工学フォーラム・ZERO 運営委員会
協 賛:東京大学生産技術研究所 海中観測実装工学研究センター他

第2回海中海底工学フォーラム・ZERO 詳細

開催日:2019年10月18日
主 催:海中海底工学フォーラム・ZERO 運営委員会
協 賛:東京大学生産技術研究所 海中観測実装工学研究センター他

第1回海中海底工学フォーラム・ZERO 詳細

開催日:2019年4月12日
主 催:海中海底工学フォーラム・ZERO 運営委員会
協 賛:東京大学生産技術研究所 海中観測実装工学研究センター他