第6回海中海底工学フォーラム・ZERO Online



        
        日 時   2021年10月8日
        場 所   東京大学大気海洋研究所講堂 【Web開催】
        主 催   海中海底工学フォーラム・ZERO 運営委員会
        支 援   東京大学生産技術研究所(生研研究集会)
        協 賛   日本船舶海洋工学会、海洋調査技術学会、海洋音響学会、(公社)土木学会、(公社)日本水産学会、IEEE/OES東京支部、MTS日本支部
              東京大学海洋アライアンス、東京大学生産技術研究所海中観測実装工学研究センター

        プログラム 06ForumZeroProgram.pdf


研究会:13:00-17:00

1)挨 拶  13時00分-13時05分
  東京大学大気海洋研究所 道田 豊

  
2)動物の淡水・陸上進出を妨げる遺伝子の発見  13時05分-13時40分
  東京大学大気海洋研究所 井上広滋・佐々三依子

[講演概要] 海で生きるためには、海水に含まれる様々な金属イオンから、必要なものを必要なだけ体内に取り込むしくみが必要である。そのしくみを解明するために、様々な二価金属イオンを細胞に取り込む性質が知られる二価金属輸送体(DMT)と呼ばれる膜タンパク質に注目した。オニヒトデにおいてDMT遺伝子の探索を行ったところ、DMTとともに、DMTとよく似た新規タンパク質の遺伝子を発見し、DMT関連タンパク質(DMTRP)と命名した。DMTRPの機能はDMTとはむしろ拮抗的であった。また、DMTRPは海棲生物のみが保有しており、淡水や陸上に進出した動物群は過去にDMTRP遺伝子を失っていることがわかった。本講演では、DMTRPの機能と、動物進化におけるその意義について考察する。
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3)西之島で何が起きているのか?―離島火山モニタリングへの挑戦―  13時40分-14時15分
  東京大学地震研究所  前野 深

[講演概要] 小笠原諸島西之島で2013年に噴火が開始してから今年で8年になります。この間、西之島では4回の噴火期と休止期を繰り返し、島は大きく成長しました。私たちのグループでは、噴火活動の状況に応じて、遠隔や近海から、あるいは上陸により、できる限り高頻度での調査観測を実施し、火山活動のモニタリングによる噴火推移や島の成長過程、マグマ供給システムの解明を目指してきました。最新の2019−2020年噴火では、マグマの特徴や噴火様式の劇的変化とともに、今まで見たことがない西之島の姿が出現し、研究も新たなステージへと進んでいます。本講演では、これまでの調査観測にもとづく西之島の成長過程を概観し、マグマ供給システムや最新噴火で起きたことについてお話しします。
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4)低コスト自律型海中ロボットによる西之島調査  14時15分-14時10分
  東京大学生産技術研究所  野口 侑要

[講演概要] 令和2年度の大規模な噴火により、島の様相が一変した西之島。陸上部分は溶岩や火山灰に覆われたことが明らかになっている一方で海中部分については調査が進んでおらず、溶岩や火山灰がどの程度まで広がっているか、また魚類や底生生物等がどのような状況になっているのか明らかでなかった。令和3年7月、海底の底質及び生物の分布状況を把握するため、当研究室で開発した低コスト自律型海中ロボット「HATTORI」および支援用の自律無人ブイ「BUTTORI」を用いて海中・海底の光学画像観測を行った。本発表ではHATTORIおよびBUTTORIの概要を説明するとともに、HATTORIが取得した西之島の美しい海中・海底映像を紹介する。また、時間帯により急変する潮流や険しい海底地形が存在する特殊な環境下で行うこととなった本調査の概要を紹介する。
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5)EEZの総合的管理と洋上基地ネットワーク構想
        -経団連「21世紀の海洋のグランドデザイン」提言(2000年)を見直すー  14時40分-15時15分

  海洋産業研究・振興協会  中原 裕幸

[講演概要] 経団連が2000年に「21世紀の海洋のグランドデザイン」を提言。国土総合開発計画法に基づく五全総「21世紀の国土のグランドデザイン」と同様に、海でも国の総合計画をと訴えた。日本のEEZを7海域に区分しそれぞれに洋上基地の整備をというものだが、具体的内容は意外と知られていない。オホーツク海に氷海研究、東北太平洋に地震観測、東北日本海に人工大和堆+水産、本州太平洋にメタハイ想定の資源調査、山陰沖に海底牧場+水産、遠隔離島に国際海洋研究、沖縄沖に浮体式養殖基地、沖縄沖はパイロット・プロジェクトとして実施をと。今日、我が国のEEZの総合的管理のため、また海洋産業の振興、海洋技術の継承のため、同構想を見直す必要がある。
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- 休 憩 -

6)AUV SPICE-1 北海にチャレンジ!  15時30分-16時05分
  川崎重工業(株)  湯浅 鉄二

[講演概要] 川崎重工業が開発・製造中のAUV SPICE-1が来年いよいよ北海に旅立ち、海底油田設備検査にチャレンジします。当社は我が国初の潜水艦建造メーカであり、その長年培ってきた水中ビークル技術を応用して、近年、自律型無人潜水機(AUV)及びその要素技術の開発を行っており、2017年にはホバリング型AUVと水中ステーションを用いて、スコットランドの試験場で自動ドッキング機能等の確認を実施しました。さらに、石油・ガス分野での活用をめざして、工業用ロボットの知見を活かしたアームと、パイプ自動トラッキング機能を組合せた海底パイプライン検査用AUVにターゲットを絞って開発を進めており、その活躍の場を求めて北海に挑みます。
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7)空を飛び水に潜る”水空合体ドローン”が広げる遠隔水中監視の可能性  16時05分-16時30分
  (株)KDDI総合研究所  西谷 昭彦
  KDDI(株)  松木 友明

[講演概要] 希望する水域に飛んでいき、そして水中に潜ることが可能な、”水空合体ドローン”を開発した。これにより、現場水域まで船を出し、現場で人が水中ドローンを操作せずとも、遠隔にて水中の点検作業が実現でき、作業の安全確保とコスト削減が可能となる。ドローンの遠隔管制を実現するためには、スマートフォンと同じモバイル通信に対応したスマートドローンが、自動飛行(あるいは遠隔操作)可能な「スマートドローンプラットフォーム」を基盤とした。このプラットフォームにより、例えば東京に居ながらも沖縄の水中を監視するといったようなことが実現できていく。本フォーラムでは、水空合体ドローンの開発内容、用途、およびスマートドローンプラットフォームについて発表する。
8)深海のトップ・プレデターを探る 〜新種の巨大深海魚ヨコヅナイワシの発見〜  16時30分-16時55分
  海洋研究開発機構  藤原 義弘

[講演概要] 生態系は一次生産者を底辺とするピラミッド、すなわち生態ピラミッドとして表現され、その頂点に立って自分自身を捕食する者のいない捕食性の動物を「トップ・プレデター」と呼ぶ。トップ・プレデターは生態系の機能や多様性の維持に大きな役割を果たすことが陸上や浅海域では良く知られるが、深海域では情報が非常に少なく、その役割はおろか、どの種がトップ・プレデターであるのかすら十分に把握されていない。そこで日本最深の湾である駿河湾を対象としてトップ・プレデターに関する研究を実施した結果、2000メートルを超える海域より未知の巨大深海魚を採集し、駿河湾深部のトップ・プレデターであることを明らかにしたので紹介する。
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9)閉会の辞/アンケート等  16時55分-17時00分