【 ワークショップ:海底ケーブルの科学利用と関連技術に関する将来展望 -第9回- 】

 近年、世界の海底通信光ケーブル網では、さまざまなリスク要因への対応や、その防護・保全について議論が進められています。その中で、ケーブルの敷設状態や周囲の状況を把握する技術として、DAS(分布型音響センシング)をはじめとする光ファイバセンシング技術が、海底ケーブルにおいても幅広く活用されるようになりつつあります。
 こうした技術は、科学観測にも有効に活用できるものと期待されており、近年では地震観測に加えて、津波や海底地殻変動観測への応用についても、その可能性を示す試験観測や研究が進められています。また、科学目的で展開されてきた既存の海底ケーブルシステムに搭載された地震計・津波計等のセンサについても、その高精度な観測能力を生かし、さらに幅広い科学利用へ展開していくことが期待されています。
第9回「海底ケーブルの科学利用と関連技術に関する将来展望」では、このような海底ケーブルの活用の現状と将来展望について、さまざまな研究・技術事例を通じて広く共有し、議論する機会としたいと考えています。
 昨年度に引き続き、本年も現地開催といたします。皆さまと会場でお目にかかれることを楽しみにしております。


日 時:2026年12月4日(金)
    WS:13:00 - 17: 00
    意見交換会:17:30 - 19:30


会 場:東京大学生産技術研究所
    WS:An棟 2Fコンベンションホール
    意見交換会:An棟 1Fアーペ


主 催:東京大学生産技術研究所海中観測実装工学研究センター


協 賛:東京大学地震研究所、国立研究開発法人海洋研究開発機構、国立研究開発法人防災科学技術研究所、IEEE/OES Japan Chapter、
    日本船舶海洋工学会、海洋調査技術学会、海洋音響学会、海洋理工学会、東京大学海洋アライアンス、海中海底工学フォーラム・ZERO


参加費:WS:無料、意見交換会:6,000円 *事前申し込み制


参加申し込み先:本会合は事前予約制です。
      東京大学生産技術研究所海中観測実装工学研究センター・杉松治美
      Tel:03-5452-6487/6489, E-mail:harumis@iis.u-tokyo.ac.jp
      申し込み期間:11月27日(金)までにメールにてお申し込みください。
      懇談会費は現地でお支払いいただきます。(11月27日以降のキャンセルには対応いたしかねます)
      問い合わせ先:杉松、武永


プログラム:Program_WS20261204.pdf

*本WSは現地開催いたします。プログラムは主催者の都合により変更する事がありますので、御諒承ください。



プログラム

0) 開催のあいさつ:実行委員長・荒木英一郎


Keynote


1) 13:05-13:35:安全保障環境を踏まえた海底通信ケーブルの防護等に向けた取組について
     総務省総合通信基盤局電気通信事業部電気通信経済安全保障室・林 大輔

【概要】:海底通信ケーブルは、国際通信の約99%を支える基幹インフラであり、我が国は北米とアジアを結ぶ国際通信のハブとして重要な役割を果たしている。また、国内では本州と離島を結ぶライフラインとして、住民生活や地域経済、医療・教育・行政サービスを支えている。近年、国際情勢の不確実性や地政学的リスクの高まりを背景に、海底通信ケーブルは安全保障上も重要性を増している。本講演では、こうした背景を踏まえた、海底通信ケーブルを巡る我が国の最新の政策動向について紹介する。

講演


2) 13:40-14:00:海底ケーブルをめぐる技術革新と国際競争
     NEC 海洋事業開発統括部・鹿島 崇宏

【概要】:世界のデジタル社会を支える海底ケーブルは、長い歴史の中で技術革新を重ね、飛躍的な大容量化を遂げてきました。本講演では、世界の市場動向を概観するとともに、マルチコアファイバーケーブルによる大容量化の現状と展望について紹介します。さらに、経済安全保障上の戦略的重要性が高まる中、レジリエントな通信インフラの実現に向けた、昨今のケーブル障害などのリスクとその影響、技術的課題と、今後の取り組みについて展望します。

3) 14:00-14:20:国際ケーブル保護委員会(ICPC)のホットトピックについて
     KDDI(株)・黒田 浩之

【概要】:国際ケーブル保護委員会(ICPC: International Cable Protection Committee)は海底ケーブルの保護を目的に1958年に設立された全世界をカバーする唯一の海底ケーブル関係団体である。海底ケーブルオーナーに加え、サプライヤ、ベンダ、船運航者、政府関係者等、77の国と地域から255以上のメンバーが登録している。ICPCで報告された世界の海底ケーブル障害の発生状況、光ファイバセンシング技術のケーブル保護への活用、特殊なケーブル修理等について紹介する。

4) 14:20-14:40:N-net敷設工事の対応状況と観測装置の敷設について
     KDDIケーブルシップ(株)・西村 晃一

【概要】:南海トラフ海底地震津波観測網(N-net)の整備において、KDDIケーブルシップが実施した沖合・沿岸ルートの海底ケーブル及び観測装置敷設工事について紹介する。 本講演では、ケーブル敷設船KDDI CABLE INFINITYによる観測装置の船上取扱い、表面敷設及び埋設の施工方法を説明。また、潮流観測結果と敷設支援ソフトウェアを用いた着底位置の予測・管理、計画位置に対する推定着底位置の算出結果と精度について報告する。さらに、海底地形や底質、海象条件に応じた敷設位置及び施工方法の調整事例を交え、大規模海底観測網の施工を通じて得られた技術的知見を紹介する。

5) 14:40-15:00:南海トラフ状態監視におけるDONET広帯域地震観測データの活用可能性
     海洋研究開発機構・山本 揚二郞 / 白石 和也 / 堀 高峰
     静岡県立大学・楠城 一嘉
     京都大学・加藤 慎也
     防災科学技術研究所・高橋 成実

【概要】:南海トラフに設置された地震・津波観測監視システム(DONET)は、海底に広帯域地震計を密に配置することで、通常地震から浅部超低周波地震(VLFE)まで、幅広い地震現象をリアルタイムで捉えることを可能にしてきた。この観測能力を活かした通常地震とVLFEのモニタリングにより、南海トラフの状態把握に資する知見が蓄積されつつある。本講演では、これまでに見えてきた成果を紹介するとともに、今後の展開および解決すべき課題について議論する。

 

15:00-15:20 Break

 

6) 15:20-15:40:2025年カムチャツカ地震津波の海底水圧計とDASの同時観測記録を用いたDAS-水圧計間の伝達関数の評価
     北海道大学理学研究院理学院・福島 駿 / 谷岡 勇市郎 / 山中 悠資
     東京大学地震研究所・篠原 雅尚 / 田中 伸一 / 大塚 宏徳
     北海道大学広域複合災害研究センター・谷岡 勇市郎 / 山中 悠資
     海道大学理学院自然史科学専攻・跡邊 陽太

【概要】:三陸沖の海底ケーブルで同時観測された2025年カムチャツカ地震津波のDASと水圧計(OBP)記録を比較し、伝達関数を評価した。2–8 mHz帯では両波形は高い相関(>0.8)を示し位相差がなく、ケーブル伸縮の寄与が支配的と考えられる。OBPから合成した軸ひずみは観測DAS波形をvariance reduction値を約80%で再現し、DASの津波波形解析への利用可能性が示された。一方,0.4 mHz程度の長周期帯では再現できなかった。

7) 15:40-16:00:海底通信ケーブルを用いたDASおよび臨時海底地震・島嶼地震観測に基づくトカラ列島域の海域群発地震活動解析と今後の展望
     海洋研究開発機構・荒木 英一郎 / 横引 貴史
     NTTアクセスサービスシステム研究所・脇坂 佳史 / 戸毛 邦弘 / 飯田 大輔 / 森 彩花 / 高橋 央/ 鬼頭 千尋
     鹿児島大学理工学研究科・八木 原寛 / 仲谷 幸浩 / 酒井 慎一 / 篠原 雅尚
     東京大学地震研究所・山田 知朗 / 蔵下 英司
     宮崎公立大学人文学部・山下 裕亮
     九州大学理学研究院・馬場 慧

【概要】:2025年6月以降、日本の南西諸島に位置するトカラ列島域で群発地震活動が活発化し、7月2日にはMw5.7の地震が発生するとともに、海域で顕著な地殻変動が生じ、近隣の島々の住民が一時的に島外へ避難する事態となった。しかし、震源域が海域に位置していることから、この活動の詳細な空間分布や時間的推移を明らかにすることは困難であった。このため、島間を結ぶ既設の海底光通信ケーブルに分布型光ファイバセンシングを適用したDAS観測、海域に臨時的に設置した海底地震計(OBS)による海底地震観測が行われた。本講演では、DAS、海底地震計を組み合わせた海域地震解析の結果を紹介するとともに、島嶼域での海底光ファイバ観測の展望について議論する。

8) 16:00-16:20:N-netを用いた分布型音響センシング(DAS)観測による日向灘の浅部構造解析
     東京大学大学院理学系研究科・馬場 朱莉
     東京大学地震研究所・馬場 朱莉 / 篠原 雅尚 / 竹尾 明子 / 山田 知朗 / 田中 伸一 / 八木 健夫 / 大塚 宏徳 / 股村 祐希
     防災科学技術研究所・篠原 雅尚 / 三好 崇之 / 柴田 律也 / 太田 和 / 武田 哲也 / 功刀 卓 / 望月 将志 / 青井 真
     北海道大学地震火山観測センター・福島 駿

【概要】:日向灘のスロー地震活動を考える上で、浅部のS波速度構造も重要な情報となる。2026年3月から6月にかけて、N-netの沿岸・沖合システムの監視用ファイバで同時DAS観測を行った。このデータから水深約200 m以深の領域について地震波干渉法により表面波を抽出し、分散曲線(0.2~1.2 Hz、位相速度約400~1400 m/s)を得た。本講演では、これらの解析と予察的な結果を報告する。

9) 16:20-16:40:N-netを用いた津波即時予測の構築と今後の展開
     防災科学技術研究所・高橋 成実
     海洋研究開発機構・今井 健太郎/p>

【概要】:南海トラフ海底地震津波観測網(N-net)が構築され、南海トラフ西部域のリアルタイム地震津波観測が開始された。現状まで、微小津波観測にも成功しており、これまで進めてきた津波即時予測システムを拡張するための入力データとして利活用し、延岡市周辺の津波即時予測システムの構築を進めている。延岡市は一級河川である五ヶ瀬川水系の河口域を抱え、地域防災を考えるにあたり、津波氾濫が大きな要素である。講演では、N-netでの観測事例を踏まえ、延岡市周辺に対する海域観測網を用いた予測システムの今後について紹介する。

*) 16:40-16:50:協賛学会特別行事
     IEEE OES Japan Chapter Young Researcher Award2026表彰式等を予定しています。

 

00) 16:50-17:00:閉会のあいさつ、防災科学技術研究所・高橋成実


意見交換会 17:30- 19:30

場所:An棟 1Fアーペ

会費:6, 000円
   参加には事前お申込が必要です。(11月27日以降のキャンセルは承りかねますのでご諒承ください)
   支払は会場にて御願いいたします。