第7回海中海底工学フォーラム・ZERO Online
日 時 2022年4月22日 13:00-17:00
場 所 東京大学生産技術研究所An棟2Fコンベンションホール「ハリコット」【Web開催】
主 催 海中海底工学フォーラム・ZERO 運営委員会
支 援 東京大学生産技術研究所(生研研究集会)
協 賛 日本船舶海洋工学会、海洋調査技術学会、海洋音響学会、(公社)土木学会、(公社)日本水産学会、IEEE/OES東京支部、MTS日本支部
東京大学海洋アライアンス、東京大学生産技術研究所海中観測実装工学研究センター
プログラム ForumZero07_Program.pdf
研究会:13:00-17:00
1)挨 拶 13時00分-13時05分
東京大学大気海洋研究所 道田 豊
2)福島沿岸の海底における放射能:この10年とこれから 13時05分-13時40分
東京大学大気海洋研究所 乙坂 重嘉
[講演概要] 2011年3月に発生した福島第一原発事故では、特に福島周辺の沿岸域の海底堆積物や海洋生物からも事故由来の様々な放射性核種が検出された。中でもセシウム137 (137Cs) は、放出量が比較的多く、長期にわたって環境中にとどまることなどから、モニタリング調査の主な対象核種とされ、環境中での動態について多くの情報が蓄積された。ここでは、沿岸堆積物中での137Csの分布と動態を中心に、この10年で得られた研究結果を概観する。また、福島沿岸の魚から食品の基準値を超える137Cs濃度を未だに検出される要因や、原発処理水の放出による海底環境への影響など、最近の問題についても議論する。
関連論文 /
インタビュー記事
3)国際海運ゼロエミッション化の経済的技術的問題とその解決方策について 13時40分-14時15分
海洋研究開発機構 大和 裕幸
[講演概要] IMOでは、2100年までに国際海運ゼロエミッション化を達成することとしている。ゼロエ化が達成されると、これまでと同じサービスなのに、運賃は上昇する。さらに、造船においては、燃料と機関は未開発、燃料供給網は未整備、GHGに関する規制も未確定と、設計のための情報は不完全である。このような不自然な経済と未確定条件のもとでのソリューションは、経済学的数学的な最適化ではなく、関係するステークホルダーの合意によるものである。次世代環境船舶開発センターでは、将来シミュレータとコミュニケーションツールを結合して合意形成システムを構築、問題の解決を図ろうとしている。
当日資料
4)次世代に向けた油回收装置の開発と浮遊物回收への応用 14時15分-14時40分
港湾空港技術研究所 藤田 勇
[講演概要] 海洋への油流出は海洋汚染事案としてはレガシーなものに分類されるが、そのリスクはいまだに存在していると同時に、究極的な対応手法が確立されている訳ではない。 対応手法のなかで主力を占める回收においても、従来から用いられている装置は、期待する程の性能を発揮できていないことが多い。本講演では、次世代の油回收船用に港湾空港技術研究所が行っている油回收装置の開発について紹介する。油回收における前提条件を見直すことで、新しい油回收装置の将来像を呈示する。さらにその応用として、軽石など油以外の浮遊物の回收装置への展開などについて紹介する。海洋への油流出は海洋汚染事案としてはレガシーなものに分類されるが、そのリスクはいまだに存在していると同時に、 究極的な対応手法が確立されている訳ではない。対応手法のなかで主力を占める回收においても、従来から用いられている装置は、期待する程の性能を発揮できていないことが多い。本講演では、次世代の油回收船用に港湾空港技術研究所が行っている油回收装置の開発について紹介する。 油回收における前提条件を見直すことで、新しい油回收装置の将来像を呈示する。さらにその応用として、軽石など油以外の浮遊物の回收装置への展開などについて紹介する。
関連サイト
-休 憩-
5)二酸化炭素の増えた未来の海で生態系の変化を探る 15時00分-15時35分
筑波大学下田臨海実験センター 和田 茂樹
[講演概要] 人類の放出した二酸化炭素の約1/4は海に吸収されており、pHの低下をはじめとした海水の炭酸系の化学平衡の変化(海洋酸性化)を引き起こす。生物に対する海洋酸性化の影響は種によってさまざまであり、多種が共存する生態系の将来予測は容易では無い。我々は、海底から二酸化炭素が噴出している海域(CO2シープ)を仮想的な未来の海として、海洋生態系の将来予測に取り組んでいる。CO2シープ周辺の高CO2海域では、サンゴや石灰藻などの石灰化生物の減少や、特定の生物種の増加に伴う生物多様性の低下などが観察されており、これらの結果は我々人類が海洋生態系から享受する利益(生態系サービス)の劣化を示唆している。
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6)複数AUVによるコバルトリッチクラスト(CRC)賦存量調査 15時35分-16時00分
東京大学生産技術研究所 ソーントン ブレア
[講演概要] 東大生研ソーントン研究室は、コバルトリッチクラストが賦存する日本周辺の海域において、航行型とホバリング型AUVおよびROVを用いた海底面の連続画像マッピングおよびCRCの厚み計測調査航海を実施しています。航行型AUV「AE2000f」とROVは、約10〜12m程度からの高高度3次元画像マッピングにより、広範囲の海底面の形状、底質、クラスト被覆状況、棲息生物などの情報を含むデータを取得します。CRC賦存量調査を目的に開発されたホバリング型AUV「BOSS-A」は、約1.5m高度からの低高度3次元画像マッピングおよびCRC音響厚み計測を同時に行うことで、CRCの賦存量を算出します。ここでは、これまでの調査におけるAUV運用の夢とロマンと「現実」について紹介します。
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7)国産水中ドローンから考えた海とロボットの未来 16時00分-16時25分
FullDepth 伊藤 昌平
[講演概要] 2016年に産業用水中ドローンのスタートアップ企業として活動を開始してから、
これまでの取組を通して、日本から水中ロボットの産業を起こすという事の課題と何が必要なのかを考えてきました。水中インフラの老朽化や洋上風力発電等に関する取り組みなど、短期的に国内で必要とされている水中へのアクセス手段を社会全体としてどう確保していくのか、また、中長期的に水中ドローンまた海とロボットについて、日本の産業として未来に向けてどのようなことを進めていくべきと感じているのか、当社の活動のみに関わらず、考えているビジョンを発表させていただきます。
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8)70年の常識を覆したFINE(Fast INterval Echosounding) Technology 16時25分-16時50分
アクアフュージョン 笹倉 豊喜
[講演概要] FINE Technologyとは従来の魚群探知機に比べ10倍の送信周期をも可能にした革新的な水中探査装置で、水中可視化装置と呼んでいる。70年前に発明された魚群探知機は今日まで大きな発展をすることなくここまできた。その原理は、水中に超音波を発信し、海底などのエコーを受信してから次の送信を行う。750mの水深では、超音波の水中での速度が1500m/sec、往復に1秒を有するので、次の送信は最短1秒後に行われる。これに対しFINE Technologyでは、送信信号をコード化することにより、水深に関係なく送信周期を速くすることができる。100m水深のところを探知する魚群探知機の送信周期は通常3~4回/秒であったものが、我々の開発したAquaMagicでは送信回数を30回/秒にすることができる
参考資料
9)次回案内および閉会の挨拶 16時50分-17時00分
東京大学大気海洋研究所 道田 豊
東京大学生産技術研究所 巻 俊宏
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