第4回海中海底工学フォーラム・ZERO Online



        
        日 時   2020年10月16日
        場 所   東京大学大気海洋研究所講堂 【Web開催】
        主 催   海中海底工学フォーラム・ZERO 運営委員会
        支 援   東京大学生産技術研究所(生研研究集会)
        協 賛   日本船舶海洋工学会、海洋調査技術学会、海洋音響学会、(公社)土木学会、(公社)日本水産学会、IEEE/OES東京支部、MTS日本支部
              東京大学海洋アライアンス、東京大学生産技術研究所海中観測実装工学研究センター

        プログラム 04ForumZeroProgram.pdf


研究会:13:00-17:15

1)挨 拶  13時00分-13時05分
  東京大学大気海洋研究所 道田 豊

  
2)バイオロギングで実現するInternet of Animals  13時05分-13時35分
  東京大学大気海洋研究所 佐藤 克文

[講演概要] Internet of Things (IoT)が進められている。しかし、センサーの分布は人口の多い先進国や都市部に偏在し、センサーの固定が基本的に不可能な海洋は情報空白地帯に据え置かれている。小型装置を動物に搭載するバイオロギングによって、この状況を打破できるかもしれない。動物だけで広い海洋を網羅することはできないが、大型計算機内の物理モデルに動物由来のデータを同化することで、計算結果の精度が向上すること、その効果が動物の行動範囲を超えて広範囲に及ぶことが分かってきた。主に生態学研究を目的に得られているバイオロギングデータをインターネットにアップロードし(Internet of Animals: IoA)、気象海洋学者や気象予報を行う人たちの二次利用を促すことで、従来のシステムと相補的な海洋環境監視網が構築できる。
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3)ダイビングしながら超音波診断!? 〜ジンベエザメの繁殖生態解明を目指す!〜  13時35分-13時55分
  沖縄美ら海水族館 松本 瑠偉

[講演概要] 沖縄美ら海水族館では、ジンベエザメやマンタなどの大型板鰓類の長期安定飼育を維持するため、飼育個体の健康管理技術を高めてきた。動物の生理状態をモニタリングするには、血液組成や内部器官の状態把握が必須である。中でも、超音波画像診断は体内での餌料消化状態や妊娠判定などに重要な役割を果たすが、診断の都度、対象個体を水上に取り上げて実施するには、人間-動物双方での負担が大きい。この解決策として、水中に装置を持ち込むことで、取り上げの必要がなく、負担を軽減した診断を取り入れている。現在、この技術を野外のジンベエザメ調査にも範囲を広げ適用し、本種の繁殖生態の解明に取り組んでいる。
資料
4)ミュオグラフィによる海域透視  13時55分-14時25分
  東京大学地震研究所 田中 宏幸

[講演概要] 火山やピラミッド等の透視に成果を上げてきた「ミュオグラフィ」はこれまで陸域に対象が限られてきた。本講演では、東京湾を横断する海底トンネルを超キロメートル級の長大な海底下センサー(Hyper KiloMetric Submarine Deep Detector)とすることで狙う、ミュオグラフィの新たなサイエンスターゲット(波浪、津波などの沿岸部のサブメソスケール、高周波の海洋ダイナミクスや東京湾ガス田)について紹介するとともに、ミュオグラフィの技術体系を陸域から海域へと前進させるための技術的課題の検証、解決法について議論する。また、ミュオグラフィは高エネルギー天文と同様に受光面積(口径)が必要になるため、将来の外洋ミュオグラフィへとつなぐために必要な海中大規模検出器や通信についてその問題点と現状について、海を利用した高エネルギー天文学の例を示しながら議論する。
資料
関連URL1 「ミュオグラフィを用いた次世代石油・天然ガス探査の勉強会(第3回)
関連URL2 「地球惑星科学・諸科学・社会とのミュオグラフィ連携研究基盤構築
関連URL3 東京大学国際ミュオグラフィ連携研究機構(Muographix)
関連URL4 Muographers国際総会2019
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5)巨大海底レアアース資源はいかにして生まれたか? ~生成年代から明らかとなった過去の地球寒冷化との関連〜  14時25分-14時45分
  東京大学大学院工学系研究科  大田 隼一郎

[講演概要] 2013年、東京大学と海洋研究開発機構による南鳥島周辺海域の深海底堆積物の調査によって、世界需要の数百年分という膨大な資源量をもつ極めて高品位な海底レアアース資源「超高濃度レアアース泥」が発見されました。しかし、レアアース泥を含む遠洋性粘土とよばれる堆積物はこれまで年代決定が困難であったため、このような膨大な資源が、いつ、なぜ生まれたのかはわかっていませんでした。そこで本研究では、海水のオスミウム同位体比を用いた新しい年代決定手法を構築し、その生成年代がおよそ3500万年前に起きた地球寒冷化の時期に一致することを突き止めました。本講演では、超高濃度レアアース泥発見から年代決定への挑戦、そしてその生成と地球環境変動との関連性について紹介します。
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6)Latest Underwater Robotics Researches on South Korea and POSTECH HERO Lab. -韓国の水中ロボット研究とPOSTECH大学のロボット研究の紹介  15時00分-15時30分
  POSTECH大学 柳 善鉄

[講演概要] 本講演では最新の韓国の水中ロボット研究の動向と代表的な研究プロジェクトに関して、主要な研究機関、研究グループと水中ロボットについて紹介する。講演者が所属するPOSTECH大学の極限環境ロボット研究室では、ロボットとセンシングシステムの研究を行っている。代表的な水中ロボットとして、ホバリングタイプの自律型水中ロボットとミニROVをAUVに付けるエーゼェントタイプのマニピュレータシステム、昆虫型で泳ぎと歩きが可能な水陸両用のFlippingタイプロボットなどを紹介する。また、韓国には米国のSea Grant をベンチマークしたKorea Sea Grant Programが地方に8か所ある。POSTECH大学にも一ヶ所設置され、IT技術を使って地域の漁民を支援している。その代表的なシステムと成果について紹介する。
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7)特別セッション 災害と海  15時30分-17時00分
  コンビーナ 東京大学大気海洋研究所 道田 豊

・イントロ 趣旨説明  15時30分-15時40分
  
・その1 地球衛星観測から温暖化と雨の変化を考える  15時40分-16時00分
  東京大学大気海洋研究所 高薮 縁

[講演概要] 近年、広域豪雨による被害が後を絶ちません。私達は降雨レーダ搭載衛星から3次元観測された膨大な量の雨データを解析し、暖候期の雨の特徴が環境場にいかにそしてなぜ影響されるかを調べています。強い雨にも様々な形態があり、小面積短時間で降る夕立のような激しい対流と、2018年や2020年の7月豪雨のように長時間広域で降り続き、河川に大きな洪水を起こす集中豪雨では、大規模環境も強雨を起こす仕組みも全く異なることがわかってきました。なぜ地球温暖化が集中豪雨の増加を引き起こすと考えるのかについて、議論したいと思います。
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・その2 気象攪乱下における海洋プラスチック汚染の拡大  16時00分-16時20分
  東京理科大学 片岡 智哉

[講演概要] 本講演では、これまでに実施した現地調査やシミュレーションの結果に基づき、気象擾乱下における河川・海岸・海洋におけるプラスチックの流出過程や挙動の違いについて講演する。河川では、洪水の増水期にマイクロ及びマクロプラスチックの輸送量が、平水期に対して1-2オーダー大きくなり、洪水のピークから減水期にかけて急激に減少する。一方、海岸に漂着するマクロプラスチックは蓄積するだけでなく、高波浪時に確率的に再漂流していくため、海岸から再漂流するマクロプラスチック量は高波浪イベントの発生頻度で決まる。したがって、気象擾乱は河川や海岸から海洋に流入するプラスチックの量を有意に増大させ、海洋プラスチック汚染の拡大に寄与していると考えられる。
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・その3 損害保険業界における災害リスクのモデリング ~高潮を例として~  16時20分-16時40分
  MS&ADインターリスク総研 久松 力人

[講演概要] 気候変動の影響で、将来の高潮や洪水による被害の増加が懸念されており、水害リスクの損害保険への移転が推進されています。損害保険業界では、強風に伴う高潮被害をピークリスクとしてとらえており、保険業界のリスク管理のため、高潮リスクの評価手法の高度化が求められています。損害保険業界におけるリスク管理では、低頻度の高潮による”損害額”を求める必要があり、確率論的なアプローチで高潮損害額を評価しています。今回の発表では、損害保険業界における自然災害リスクのモデリング概要と、効率的な高潮損害額評価に関する取り組みについて紹介します。
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・その4 ディスカッション  16時40分-17時00分
8)閉会の辞/アンケート等  17時00分-17時15分