第2回海中海底工学フォーラム・ZEROのご案内
日 時 2019年10月18日
場 所 東京大学大気海洋研究所講堂
主 催 海中海底工学フォーラム・ZERO 運営委員会
共 催 東京大学生産技術研究所(生研研究集会)
協 賛 日本船舶海洋工学会、海洋調査技術学会、海洋音響学会、(公社)土木学会、(公社)日本水産学会、IEEE/OES東京支部、MTS日本支部、
東京大学海洋アライアンス、東京大学生産技術研究所海中観測実装工学研究センター
プログラム 02ForumZeroProgram.pdf
研究会:13時00分〜17時40分
1)挨 拶 13時00分-13時05分
東京大学大気海洋研究所 道田 豊
2)海の恵みとSDGs=漁業から海底資源まで 13時05分-13時45分
横浜国立大学 松田 裕之
[講演概要] 最近、陸上の環境調和型経済(Green economy)に対して海域(水域)ではBlue economyという言葉が多用されている。主要には漁業を含む生態系サービスだが、洋上風力発電などの再生可能エネルギー、海底鉱物資源や海底油田も含まれる。本講演では、以下の諸課題を例に、海の恵みの持続可能な利用の在り方を参加者とともに包括的に議論したい。①漁業資源2048年枯渇説のその後、②環境ホルモン問題からみた海洋プラスチック問題、③ブルーカーボンは現代の「免罪符」か、④海洋保護区と持続可能な利用、⑤水産物認証とESG投資、⑥生態系サービス論と「自然の果報」。
3)海の今を知る〜海洋状況表示システム『海しる』について〜 13時45分-14時05分
海上保安庁 吉田 剛
[講演概要] 平成31年4月17日、「海の今を知る」をコンセプトに、様々な海洋情報を地図上で重ね合わせて表示できるWebGISサービス「海洋状況表示システム(愛称:海しる)」の運用を開始しました。「海しる」は、国土交通省「生産性革命プロジェクト」における、海洋ビッグデータを用いた海洋情報革命の中心を担う海洋分野データプラットフォームであり、さらには、政府全体で推進しているMDAの能力強化に資するシステムと位置づけられ、関係機関が有する海洋情報を集約し提供する先進的なWebGISサービスです。「海しる」は、全球「グローバル情報」の「リアルタイム表示」が特徴であり、国内外の関係機関が有する200項目以上の海洋情報が表示可能です。従前の「海洋台帳」を進化発展させたシステムであり、海の安全に関する情報を引き続き提供するとともに、産業振興、環境保全など、多様な分野での活用を想定しています。
4)“ロボットボートで”池の水草ぜんぶ刈ってみる? 14時05分-14時30分
東京大学農学部 海津 裕
[講演概要] 日本全国各地、世界各国で池や沼の水草の繁茂が問題となっています。周辺農地からの余剰肥料成分の流入や洪水の減少、宅地からの汚水の流入、除草剤の使用量の減少などが主な原因として挙げられます。水草には、マリモのような希少種、見た目の美しいハスや睡蓮などがありますが、その一方で、過剰に繁茂した水草は溶存酸素の減少や生物多様性への影響、枯死体によるヘドロの堆積など多くの問題を引き起こします。増えすぎた水草に対しては積極的な管理が必要だと考えられます。本発表では、水草の刈り払いを省力的かつ低コスト、省エネルギーで行うことが可能なロボットボートに関する研究事例を報告させていただきます。
5)岩国サテライト、AUVイノベーションの拠点に! 14時30分-14時55分
艦艇装備研究所 金子 博文
[講演概要] 防衛装備庁艦艇装備研究所では、平成28年のまち・ひと・しごと創生本部決定による「政府関係機関移転基本方針」に基づき、水中無人機の陸上試験評価施設である岩国海洋環境試験評価サテライト(仮称)の整備を令和3年の開所を目指してすすめています。この事業は、地方の優れた人材や企業を活用、活性化させてローカル・イノベーションへの貢献、さらに将来的には水中無人機技術・産業の集積地となることが求められています。これまでに例のないAUVに関するオープンイノベーションへの取り組みと現在取り組んでいる水中無人機事業の概要について説明させていただきます。
- 休 憩 -
6)海洋スタートアップ「FullDepth」の取り組み 15時15分-15時40分
Full Depth 伊藤 昌平
[講演概要] 私たち人類は現代においても水中の世界がどうなっているのか、まだよく分かっていません。資源開発や地球環境の把握においても重要と考えられる深海においてはもちろん、ダムや港湾などの身近な場所にあるインフラの維持管理や、洋上発電などの海洋の新産業においても水中の情報の不足は大きな課題となっています。私たちFullDepthは人が水中を当たり前に知り、使いやすく、使い続けられる世界の実現を目指す水中ドローンの開発を行う海洋スタートアップ企業です。当社の取り組みのご紹介を通して、スタートアップ企業が何を目指し、どのように活動し、何を求めているのかをご紹介させていただきます。
7)水中ロボコン報告 15時40分-16時05分
司会 東京大学生産技術研究所 巻 俊宏
・その1 Young Challenge in Singapore
東京大学新領域大学院学生 藤田 健一
[講演概要] AUV(自律型水中ロボット)による水中ロボコンとは、ターゲットの探査やゲートくぐりなどの与えられた課題の達成度を競う競技のことであり、参加チームは水中ロボットを作成し、画像処理や運動制御のプログラミングを行い自律での課題の達成を目指す。
東京大学巻研究室の学生によって構成されるTeam ClairvoyanceはOES Japan chapterの支援を受けて、今年3月にシンガポールで行われた水中ロボコン(SAUVC2019)に参加した。本講演では、ロボコンの結果について振り返るとともに、国内大会・国際大会の双方に参加している立場から、雰囲気の差異など自分たちが感じたことについて報告する。
・その2 水中ロボコンが中高生の“見る目”を育む
東京大学生産技術研究所 山縣 広和
[講演概要] 世界的に科学教育の重要性が語られる昨今、科学、技術、工学、数学を包括的に学習するSTEM-Educationの必要性が論じられている。包括的な学習は広い視野を養う一方で、学生たちに思考のコアと言えるものが形成できなければ結実しない。そこで、筆者はそのコアに「モデル化能力」を据えて水中ロボットによる教育活動を実施してきた。
8)特別セッション : 海洋プラスチックゴミの実態と課題 16時05分-17時40分
・イントロ 趣旨説明 16時05分-16時15分
コンビーナ 東京大学大気海洋研究所 道田 豊
・その1 海洋プラスチックゴミの何が分かっていないか?何をやるべきか? 16時15分-16時35分
東京大学大気海洋研究所 津田 敦
[講演概要] プラスチックは、石油を原料とした合成樹脂であり、加工が容易で生物化学的に安定な素材として1960年代以降に日用品に多く使用されるようになった。難分解性であるため、廃棄されたプラスチックは、水系を通じて最終的には海洋に流入すると考えられる。プラスチックは水よりも比重の軽いものが多く、これらは表層を漂い、漂着したり何らかのプロセスで除去されていると考えられる。海洋プラスチックは現在、大きな環境問題の一つとして取り上げられるが、解決しておかねばならない問題が2つある。一つは、海洋におけるプラスチックごみの運命である。またもう一つは、我々人を含む生物への影響である。本講演では、この2つの問題に日本財団プロジェクトで我々がどう取り組むのかをご紹介したい。
・その2 MP計測の現場から 16時35分-16時55分
東京大学大気海洋研究所 山下 麗
[講演概要] プラスチックはその利便性から広く利用されているが、不適切な処理によって最終的には海洋へと流出していく。近年、海洋へ流出したプラスチックを誤飲した海洋生物の映像が報道され、海洋プラスチック問題が広く知られるようになった。また、目で見ることが困難なマイクロプラスチックが存在することも明らかになり、海洋生態全体への影響について懸念されている。しかし、実際にどのくらいの量のプラスチックが海洋に存在するのか詳しく調査した例は少なく、試料からプラスチックを検出する方法も未だ確立されていない。本講演では、演者や他の研究者がこれまで行われてきた調査や検出法を紹介するとともに、その問題点について議論したい。
・その3 海洋プラスチック問題解決に向けた化学産業の取組の方向 16時55分-17時15分
日本化学工業協会 渡辺 宏
[講演概要] 廃プラスチックによる海洋汚染がグローバルな喫緊の課題として顕在化している。世界の経済成長に伴い、プラスチックの生産・使用量は、今後とも、引き続き増加すると見込まれている。かかる状況下において社会生活の豊かさのレベルの維持・向上を図りつつ、海洋プラスチック問題を解決するためには、廃棄物管理の徹底が求められる。持続可能性や循環経済の確立に対する社会からの要請も踏まえ、化学産業として適切な取組・貢献をしていく必要がある。技術開発、ビジネスモデルの転換、原料に対する認識転換など幅広いイノベーションの具体化や海洋プラスチックの多くを発生させているアジア各国との国際連携などの取組の方向について紹介する。
・会場とのディスカッション 17時15分-17時40分
*プログラムは主催者の都合により変更する事がありますので、御了承ください。
IEEE/OES Japan Chapter Young Award 2019 授賞式 17時40分~17時55分
司会 IEEE-OES Japan Chapter Chair 川口 勝義
同 Young Researcher Award 委員長 林 昌奎
同 Young Researcher Award 幹事 北澤 大輔
本フォーラム協賛学会のひとつであるIEEE-OES Japan Chapterでは、平成21年度より、将来の海洋研究を担う研究者の育成を目指して、若手研究者による当該年度海洋関連国際学会での優秀発表論文を表彰しております。今回、対象となった国際学会は、OCEANS 2018 MTS/IEEE Charleston, Underwater Technology 2019 Kaohsiung, OCEANS 2019 MTS/IEEE Marseilleです。栄えあるYoung Researcher Award 2019の受賞式を、研究会終了後におこないますので、皆様、よろしくご参加ください。
懇談会 18時00分~20時00分
|